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2011年9月 2日 (金)

海を渡るチョウ

志賀高原を訪れた8月上旬、草地には花がたくさん咲いていて、チョウが花蜜を求めて飛び回っていた。中でもアサギマダラの数が多く、なかなか見応えがあったね。

P8079892

アサギマダラ(浅葱斑:Parantica sita )は、翅の模様が鮮やかな大型のチョウで、その生態は不思議でとても魅惑的だ。
体内に毒を蓄積することで、鳥などの天敵から身を守る効果がある。

天敵に襲われにくいと自覚しているのだろうか、こんなに無防備なチョウは少ない。間近でカメラを構えても逃げる素振りを見せない。

浅葱色の毒

また、アサギマダラは”渡り”をするチョウとしても知られている。
日本本土と南西諸島や台湾の間を往復する”海を渡るチョウ”なのだ。

南西諸島や台湾で羽化した成虫は、春に北上して日本本土にやってくる。飛行距離は1,500Kmに及ぶこともあるそうだ。

南国生まれのアサギマダラは、日本で繁殖して大冒険の生涯を終える。
夏に発生する日本生まれの世代は、秋になると南西諸島や台湾まで南下して、彼の地で繁殖して次世代を残す。

海を越えて北上する個体と南下する個体は親子の関係であり、アサギマダラは世代を越えた大移動を繰り返しているのだ。

P8079847_2

この場所で観察したアサギマダラはこの周辺で羽化したばかりなのだろうか、翅がほとんど傷んでいない。
春に遥かな南国から日本にやってきた両親から生まれた子どもたちだ。

日本生まれのアサギマダラは、間もなく両親の生まれた南国へ旅立つ。たっぷりと花蜜を求めるのは旅支度なのだろうか。
こんなに小さく脆弱な体に、命を懸けた大移動のパワーが秘められていかと思うと、感嘆するしかないね。

私は南西諸島にも台湾にも行ったことがないが、彼の地でアサギマダラを観察して、この魅惑的なチョウによって結びつけられている日本本土との因縁を感じてみたいね。

P8079906

(撮影日は2011年8月7日)

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鱗翅」カテゴリの記事

コメント

何時も観せて頂いております。
写真だけですと、ほう!このチョウどうやって撮ったのか知らんで終わってしまいますが、仔細で簡潔な説明文によって感激を倍増させて頂きました。

るりぼしさん
日本生まれのアサギマダラは
とっても色鮮やかで、綺麗ですね!
でも、お国に帰り着いた時には、羽根もキズついてるんでしょうね!
ずっと、日本にいればいいのに・・・。

by さん

過分なお言葉、ありがとうございます。
独り善がりのブログですが、ご覧いただければ幸いです。

ナンシーおばさん さん

本当ですね。
命がけの旅をしなくても日本で世代を継げばよいのにと思いますが、アサギマダラという種が選んだ生き残り戦略が”海を渡る”ことなのでしょうね。
アサギマダラの翅の半透明で浅葱色の部分は鱗粉が少なくなっています。これが丈夫な翅の理由かもしれないと思っています。

こんばんは!
アサギマダラって綺麗ですね。
始めて見ました。
御前崎辺りにも来るのでしょうか?

FUJIKAZE さん

アサギマダラの移動は、日本各地の愛好者が実施するマーキング調査で確認されています。
捕獲したアサギマダラの翅に、捕獲した日、場所、連絡先などを記載して放し、捕獲したアサギマダラに記載があれば、情報を共有するという調査です。この調査でアサギマダラが海を渡ることが証明されました。
静岡昆虫同好会もこのマーキング調査を実施しています。
御前崎からの報告もあるようなので生息していることは間違いないと思います。
ただ、夏は山地に集まる傾向があるようですね。

おはようございます。
アサギマダラ、綺麗ですね。
花とマッチして一層引き立つ感じですね。
昔、伊吹山の頂上で、下から風に乗ってたくさんのアサギマダラが舞い上がってきたのを思い出しました。
その時は感動モノでしたね。

ソングバード さん

アサギマダラの大群が集合する”中継地”などでは、乱舞する様子を見ることができるそうですね。
私も見てみたいです。

るりぼしさん、こんばんは。
こんなに綺麗な蝶なのに、毒があるなんて、初めて知りました!しかも、幼虫時代に餌の葉からその毒を蓄えているとは…

今後は、黄色と黒色の昆虫(蜂)以外にも気を付けていきたいと思います。といっても、こちらは襲ってきたりしませんし、写真も近づいて撮らせてくれるとのことですので、毒があっても可愛いですね

すけたろじ さん

植物、動物、バクテリアなど、様々な生き物が、様々な種類の毒を生産又は蓄積して利用しています。
その効果がまた多様で、生物と毒の関わりは、とても奥が深いなぁと思います。

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